前回の上部頸椎とセロトニンで広範囲調節系と言う言葉が出てきました。あまり聞き慣れない言葉であり、また脳幹との関連も深いので今回はこのあたりを掘り下げていきます。以下抜粋は「神経科学」ー脳の探求ー
脳の広範囲調節系
眠りに落ちる際”眠くなってきている”と言う内なる指令は、脳の広範な領域で受け取られるべきメッセージである。この情報を広く脳に分配するには、分枝して広範囲に広がった軸索を持つニューロン群が特に必要である。脳にはそのようなニューロンの集合体がいくつかあり、それぞれが固有の神経伝達物質を用い、広範囲に分散した、行き先があまりはっきりしない軸索で神経結合を作っている。これらのニューロン群は詳細な感覚情報を運ぶというよりは、むしろ、調節機能を果たす。
前回のおさらいになりますが、”セロトニンは気分や情動行動、睡眠を調節する脳のシステムにおいて重要な役割を担っている。”そしてセロトニンによって作動するニューロン群が縫線核であり、縫線核は広範囲調節系の一端を担っています。そしてそれらは脳幹(延髄)に存在しています。
多少強引ですが、一連の流れをわかりやすくパソコンに例えてみます。
まずはPC本体は身体です。
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PCを操作する人がいないとパソコンだけでは動きませんよね。この場合は人体(身体)を動かしているのは私たちの意識や思考ということになります。
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そして上記の説明にもあるようにPCを起動したり、シャットダウンしたりする役目をしている電源ボタン(OS)にあたる部分が広範囲調節系の大部分が存在している脳幹ということになります。
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電源ボタンを押すとPC内部が動き出します。人体では脳です。
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最後にPCが使える状態になります。人で言えば目覚めた状態です。
調子の悪いパソコンが重くなるように、脳幹(延髄)の下に位置する上部頸椎のズレが、意識における人体へのオペレーティングシステムに不具合を及ぼしている可能性があるとしたら興味深いですよね?
もう少し詳しくみていきます。
■一般的には、それぞれの系の中心となるニューロン群は小規模(数千)である。
■調節系のニューロン群は脳の中心部、それも大部分が脳幹にある。
■個々のニューロンは他の多数のニューロンに影響を与える。というのは、ニューロン1個が持つ軸索は、脳内に広範囲に散在する10万以上のシナプス後ニューロンと接触しているからである。
■さまざまな調節系で形成された多くのシナプスでは、放出された伝達物質は細胞外に放出されて拡散し、多数のニューロンに作用するようになっており、シナプス間隙のみに限定されることはない。
上記の図でも解るように、延髄の下端は第一頸椎と接しています。上部頸椎カイロプラクティックはこの部分のズレを調整することでエネルギーの滞りを解消していくことになります。
最後にもう一度、広範囲調節系の働きについてまとめると
しかし全体的な視野で見れば、それらは全て脳のホメオスタシスを維持するように機能している。つまり、ある一定の生理的範囲内におさまるように、さまざまな過程を調節しているのである。たとえば自律神経系は血圧を適切な範囲内に調節している。血圧を変動することにより、動物はさまざまな条件下で最適な行動ができるようになる。ノルアドレナリン作動性の青班核とセロトニン作動性の縫線核は、同様の方法で意識と気分の水準を調節している。これらの水準もまた、個体が適応できる範囲内で変動する。
人の意識や思考に関しては、まだ、それがどこから来るのかわからない部分があります。(以前書いたブログではそのテーマを掘り下げてみましたが。思考者の探求①)
しかしこうした人の意識までもが、神経系、しかも脳幹を起始とする広範囲調節系によって制御されていることには正直私も驚きでした。
上部頸椎カイロプラクティックにおける調整では、気分障害などが改善された例はいくつもあります。薬に頼らない治療法なので、真の健康を取り戻したい方は是非、上部頸椎カイロプラクティックを受けてみてはいかがでしょうか?
富山県氷見市 上部頸椎専門丁場カイロプラクティック