登山

白山〜日本三霊山最後の山〜

お盆も終わった8/17に白山へ行ってきました。

思えば12年前、まだ本格的に山登りを始める前、氷見のこの家で見かけた日本三大霊峰立山と書かれた飾り物を見たのがきっかけだったように思います。

高岡の山岳会にも所属していた叔母は生粋の山好きでした。そんな叔母に

「三大霊峰って立山とあとどこ?」

と聞くと富士山と白山だよ、と教えてもらいました。

富士山はともかくとして、残り2つが北陸にあることがなんだか驚きでした。

暫くして神奈川に戻り、私は思い出したように近所にある丹沢へ山登りをしに行きました。

初めて1人で登った山は、西丹沢に位置する畦ヶ丸という山でした。西丹沢は山梨県との境になるので、私が住んでいた藤沢からは車で2時間弱かかります。それから畦ヶ丸まで6km(?)と書かれた道標を頼りにひたすら歩き続けました。

歩き初め、堰堤を登ったり下りたりするだけでなんだか興奮しました。奥へと進むにつれて自分が人間界から遠ざかっていくような気がしてワクワクしました。8月なのにロクに水も持たず、お昼ご飯のおにぎりだけを持って。生憎山頂はハエだらけで、ベンチでは休憩できませんでしたが笑

結局その日1日、誰ともすれ違うこともなく下山し帰りに鶴巻温泉で今はもうない日帰り温泉へと立ち寄ったことだけは覚えています。

それからすぐに叔母に骨髄腫が見つかり、結局一緒に山登りをすることはできませんでした。なので誰かに教えてもらったり、連れて行ってもらったことがない分時間はかかりましたが、近年は劔や大キレットなんかにも行くことができました。(西穂〜奥穂がまだ残っていますが😅)それも全て、これまで山で出会った人たちのおかげです。

そして昨年引っ越してきてからずっとこの白山が頭の片隅ありました。今年の春先まで一緒に働いていたバイト先のおじさんが

「白山へ登るなら泊まりかなぁ〜」

と言っていた言葉が引っかかっていたのか、ゲートが割と早い段階でしまってしまうからなのかこれまで先送りにしていました。

ましてや今回も来月に予定している剱岳の早月尾根ピストン(昨年も登りましたが)が控えている為、慣らしておかねばと考えて思い立ったことも事実であります。

先日の白馬岳から2週間弱、相変わらずお天気は晴れが続きます。こうしたチャンスを逃す手はないと考え、行くことに決めたのでした。

初の西の方角にある山。金沢を経由して白山市へと入っていきます。当日は前回よりも30分寝坊して1時に起床。前日から入念に用意はしておいたので、ザックと携帯用マグカップに入れたコーヒーを持って車に乗り込みます。

能越で小矢部ICまで行き、そこから8号線で金沢へ。かの有名な倶利伽羅峠(カラクリ峠じゃなかった笑)を途中通り過ぎます。金沢を通過し、白山市へ。なんとなく藤沢の実家から丹沢へと行く道、246から宮ヶ瀬ダムへ向かう、に似た面影があります。それと標識に常に白山と書かれている為、運転しやすいのもあります。まるでそこまで、一本道が敷かれているかのごとく。

距離的には前回の白馬村にある猿倉Pよりも近いのですが、深夜で車も走っていないのでそれなりに飛ばして行きます。山麓に入ったかなぁと思うとトンネルとカーブが増えてきます。なんだかんだでやっぱりそんなに簡単には着かないものです。

ようやく駐車場らしきものが出てくるのですが、これは市ノ瀬駐車場です。そこそこ車で埋まっており、テントを張っている人もいます。なんとなくこちらへ誘導されて入ってしまいましたが、私はもう少し先にある別当出合駐車場を目指していきます。

そこから少し走ると、ようやく目的地に着きました。駐車場は思ったよりも小さくて半分以上が埋まっています。たまたま湘南ナンバーと川崎ナンバーの車の間が1台空いていたので、そこへ止めます。

コーヒーを飲みながら休憩なしで運転していたのでトイレへ行きたくなる。ですが駐車場から登山口まで地味に距離がある(500mくらい?)。

これは困ったものだと歩を早めるも、緩やかな登りなのでそう簡単には着かない。やっとこさ別当出合にある建物が見えてくる。しかし肝心のトイレがどこにあるのかよくわからない。本気で漏れそうになりながら必死で入ったトイレは冬季用で中はボットン便所だ。なんとかギリギリ間に合ったが、おかげで散々なスタートなってしまった。

仕切り直して外のベンチで準備を整える。灯りのついている建物の中には1人の登山者がいる。外にも立派なベンチがあって、こちらもセンサーで灯りがつく。上高地のバスターミナルのベンチとまではいかないがとても快適だ。

今回は歩き出しからトレッキングポールを使う。なんとなくお昼くらいから雲が広がる予報でしたので、早く山頂について写真を撮りたいと思っていたからです。なので久方ぶりに頭にヘッデンを付けました。

まずは聖域を象徴する吊り橋を渡ります。オリオン座の三つ星が縦に並び、まるで目の前の山に吸い込まれていくようです。その左手には金星が一際輝いて見えます。ふと明け方ということを思い起こし、反射的に後ろの空を振り返ると短い一筋の流れ星が見えました。流石にお願い事をしている暇はありませんでしたが。

30分で中飯場、2時間弱で甚之助避難小屋、ちょうど6時手前に南竜分岐まで来ました。標高1245mの別当出合から2100mまで来ましたので、約4km歩き、855m上がりました。出発が丁度4時でしたのでここまで大体2時間、室堂までは残り2km弱です。歩きやすいし、涼しい時間帯なのでかなり順調なペースです。

黒ポコ岩という記念撮影のスポットでようやく今日初めて、登山者に遭遇しました。(出発地点にもお二人いましたが。)セルフタイマーで写真を撮っていたので、

「写真お撮りしましょうか?」

と声をかけると、

「ありがとう、デジカメだとなんか上手くいかない。こっちのスマホでお願いします」

ニトロマイクロフォンアンダーグランドのようないかしたサングラスをかけた男性の方だ。おそらく私よりも年上だろう。私もここで写真を撮ってもらいたかったので丁度よかった。

 

お互いに写真を撮り終えた後私が、

「あの稜線に見えるのが白山ですか?」

と聞くと

「あれは別山だよ。白山はこっち。」

と言って正面を指さしました。

「おーそうなんですね!」

「白山は初めてですか?」

「そうなんです」

と言って私が氷見から来たこと、まだ引っ越してまもないこと、その方は小松から来たこと、コロナ騒ぎで今日が今年初めての山登りであることなどしばらく話しました。

再び歩き出し、はじめは距離をとっていたのですがまた追いついて一緒に室堂で休憩することに。ビジターセンターを通過するのですがそこだけマスクが必要だったりとここでもコロナの影響が伺えます。流石にまだ7時になったばかりなので、入り口での検温は行っていませんでしたが。

外のベンチで小松の方(100万石さん)と話しながら持って来たおにぎりを食べます。100万石さんは5月にも白山を登りに来るらしく、雪で覆われた山頂はなかなか厳しいがその時に池が見えるとなんとも綺麗なのだと教えてくれました。

しばし休憩し、再び歩き出しいざ山頂へ。100万石さんも大汝峰まで行く予定だったので、以降一緒に行動することに。

2へ続く